京都府和束町というと宇治茶の生産地で美しい茶畑が広がります。
京都は寺社仏閣など多くの世界遺産を有する世界でも有数の観光地ですが、京都府はそんな寺社仏閣や古い街並みだけでない「もうひとつの京都」を売り込み中です。
「もうひとつの京都」には、「森の京都」、「海の京都」、そして「お茶の京都」という3つの違った京都を紹介しています。
「お茶の京都」が、宇治茶の生産地としても知られる和束町を含む京都府南部地域です。
ここに星野リゾートが目をつけ進出することが発表されました。公共交通機関でアクセスするには不便な場所ではありますが、同社が進出する価値はあるのでしょうか?
星野リゾートが京都和束へ進出
星野リゾートは最近では三井不動産、森トラストとともに「超御三家」と呼ばれる企業で多くのホテルの運営を手がけています。
星野リゾートは最近では大阪市西成区のドヤ街でも有名な新今宮駅前にシティホテルを建設することでも話題になりました。
【次号・月曜のMJ】リゾート地の旅館再生でホテル業界に新風を吹き込んできた星野リゾート。「立地が全て」と言っていた星野佳路代表が新拠点に選んだのは大阪・新今宮でした。「誰にとっての立地か再定義が必要になった」と言います。どこに泊まるのが訪日客の新トレンドか。1面で特集します。 pic.twitter.com/S8TLKhEqkW
— 日経MJ (@nikkeimj) January 6, 2018
この時は多くのメディアから驚きの声があがり、世間をアッといわせましたが、今回の京都府和束町への進出も既存の概念を打ち破るようなことにサプライズが起こっています。
星野リゾートが宇治茶産地として知られる京都府和束町に新しい宿泊施設の開発を検討します。訪日外国人も注目する美しい茶畑の景観を活用するようです。https://t.co/kuuemTcagR pic.twitter.com/GnJnEiUphy
— 日経関西 (@nikkeikansai) January 30, 2018
和束町はたしかに魅力がある場所ではありますが、アクセスが良いとはいえず大阪からは電車で1時間以上乗り、さらに駅からの距離もかなりあります。
そんな一見不便な土地を星野リゾートが目をつけ、今後はホテルを建設するなど開発を進めていくことになりそうです。
狙いはズバリ訪日外国人旅行者。
外国人に人気の緑茶やその生産地である和束町などに多くの外国人が訪れることを見越して、今回の和束町及び京都府と「パートナーシップ協定書」を締結をしたわけです。
「お茶の京都の魅力」
「お茶の京都」の魅力は、こちらのこちらのショートムービーで紹介をされています。
「もうひとつの京都 お茶の京都編」です。英語字幕があるように外国人にもその魅力を広く発信しているのがわかります。
動画では美しい茶畑の他にも、古いお寺もあり、日本の昔ながらの家屋も登場し、日本人はもちろん外国人が訪れたくなる内容になっています。
それにしても京都はかつての都からかなり離れた場所にも、こんな立派なお寺があるなんて! 観光地としての京都のポテンシャルの高さを感じます。
でもそうはいっても、これまでそれほど多くの人が和束町へ訪れたわけではありませんし、星野リゾートが進出したからといって、すぐに大盛況となるのでしょうか?
茶畑は世界でも人気の観光資源
京都府和束町の一番の観光資源である美しい茶畑ですが、実は世界でも人気の観光資源として多くの人が訪れる場所もあります。
例えばマレーシアの「キャメロン・ハイランド」。
赤道直下のマレーシアでありながら、高地なため避暑地としても人気の場所ですが有名なのは美しい茶畑です。
#マレーシア の避暑地、キャメロン・ハイランド。夏でも気温が20度前後しか上がらないため、その気候を活かして紅茶の生産が行れます。なだらかな丘を埋め尽くす広大な茶畑に目を奪われます。https://t.co/BgSFtftwiA pic.twitter.com/Y29vblvlE8
— エクスペディア(Expedia) (@Expedia_Japan) August 12, 2016
こちらは英国の植民地だった時代もあることから、生産をしているのは紅茶ですが多くの外国人旅行客が訪れます。
アクセスは和束町と比べ物にならないほど悪いにもかかわらずにです。
キャメロン・ハイランドには空港はおろか鉄道もありませんので、公共交通機関での移動はバスになります。
首都クアラルンプールからだと約4時間程度。途中まで高速道路を走るもののその後はカーブの多い山道を登っていく決して良い道とはいえないアクセスです。
そんな良くないアクセスにもかかわらず多くの人が訪れるわけです。
また、マレーシアにかかわらず、タイ、インド、スリランカなどにも茶畑で有名な観光地はありますがアクセスが良い場所なんてものはありません。
しかし、和束町はどうでしょうか?
日本人の感覚では確かに電車で1時間以上揺られ、さらに駅から遠いわけですからアクセスが悪いなと感じるはずです。
でも外国人にとっては京都や大阪から1時間少しで移動ができ、しかも快適な電車を使ってですのでそれほど苦痛にはならないはずです。
関西国際空港からも3時間もかからずに移動できる場所に美しい茶畑が広がっているわけです。
これは世界の観光地と比べると宝の山ともいえる場所が、まだそれほど手がつけられていない状況ともいえるわけです。
そこに星野リゾートが目をつけ、ホテル開発をしようと試みているわけです。
今回の京都府や和束町と星野リゾートの提携発表の記者会見では京都府の山田啓二知事も出席し、その期待のほどが見て取れます。
京都府が進める「お茶の京都」のプロモーションと相まって、今後は和束町などの京都府南部が世界的にも有名になっていく可能性があります。
お茶の京都がよりメジャーになり、新たに外国人が多数訪れる観光地が出現しそうです。