日本の労働市場は低成長の現在でも世界が驚くほどの低い失業率を維持しています。
失業率が高い国は発展途上にある国が多いですが、先進国でも2016年の統計によるとイタリアやフランスなどは10%以上という高い失業率になっています。
一方日本はどうかというと、世界の中でもトップクラスの3%程度という状態。
また最近では人手不足の業界もあり、日本では選ばなければ何らかの仕事に就くことがそれほど難しい状況なのです。
なぜ日本の失業率はこれほど低いのでしょうか?
日本は低成長でありながら完全失業率が低い
日本は少子高齢化などによって、近年は経済が低成長の状況が続いています。
普通経済が停滞すると労働者が仕事に就くことが難しくなり、失業率も上がる傾向があります。
しかし、日本は低成長でありながら完全失業率がとても低いという珍しい国です。
近年日本の経済成長率は、高度経済成長時代の面影は全く無く、1%台の成長率の年度が多く、年によってはマイナス成長という年度もあります。
一方近年の失業率はというと、不況で高い時でも5%台。最近は3%前半が続きついに2017年には3%を割り込む程の良い数値を叩き出しています。
世界では日本よりも経済成長率が高い国がたくさんありますが、そんな国でも日本よりも失業率が高い場合が多いのです。
では、なぜ日本の完全失業率はこうも低いのでしょうか?
日本の失業率が低い理由は?
日本の失業率が低い理由には様々なものがありますが、まずは日本独特の雇用慣行があげられるでしょう。
日本の雇用慣行はグローバル化が進み少し変化が見られますが、依然として終身雇用制度が根強く残っています。
そのため仮に業績が悪くなったとしても、アメリカのように容赦なくレイオフをするような事態が少ないという面があります。
それだけ正社員にとっては雇用が安定しているという点では日本はとても優れているといえるでしょう。
でも最近では非正規雇用の割合が高くなってきており、徐々に日本の雇用慣行も変わってきています。ですからそれ以外の事由によっても日本の失業率が低い理由があります。
日本の女性の労働参加率の低さも影響
日本では諸外国と比べて女性の労働参加率が低いという点も失業率の低さに影響を与えています。
女性の労働参加率が低くて、専業主婦が多いのが日本の特徴ですが、専業主婦は労働力調査において「求職活動をしている」とは通常答えません。
そのため専業主婦は失業率の分母となる求職者とカウントされず、求職者の分母が小さくなります。
求職者の分母が少なければ、たとえ失業者が多くと失業率は低い数値になります。
非正規雇用が増えたため
日本の近年の傾向として、正規雇用が減って非正規雇用が増えたという現象があります。
また、非正規雇用が増えたため実質賃金もかつてより下がっている状況です。
非正規雇用の比率が高まったため、その分雇用自体は増えたという側面もあります。
日本は現在デフレが続いているような状況ですから、それでも非正規雇用でも何とか生活ができています。
失業率が低いのは良いのですが、非正規雇用が増えて貧困の問題が多くなることは避けなければなりません。