2019年のユネスコの世界遺産登録を目指して、大阪府の「百舌鳥(もず)・古市(ふるいち)古墳群」を政府が正式に推薦することを決定しました。

 

大阪府では初となる世界遺産の国内候補ですが、地元が文化庁に提案をしてから10年の歳月を経てようやく世界文化遺産の国内候補地に選ばれたわけです。

 

ただ、ココから世界遺産に登録をされなければ、今までの努力も報われません。

 

では「百舌鳥・古市古墳群」の世界遺産の登録の可能性は高いのでしょうか? それとも厳しい状況なのでしょうか?

 

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「百舌鳥・古市古墳群」とは?

 

まずはあらためて「百舌鳥・古市古墳群」について確認をしておきます。

 

日本の古墳で教科書にも登場し最も有名なものは、大仙古墳(仁徳天皇陵)ですね。大阪府堺市にある国内最大の前方後円墳です。

 

こちらの上空からの鍵穴のような形はもうおなじみですね。

 

 

「百舌鳥・古市古墳群」という名称でわかるように、世界遺産候補の構成資産になるのは大仙古墳だけではありません。

 

大阪府南部の百舌鳥地域(堺市)と古市地域(羽曳野(はびきの)市、藤井寺市)にある古墳の集まりをまとめて世界遺産の登録を目指すことになります。

 

この地域の古墳は現存するもので89基もあります。まさに古墳銀座のような状況です。

 

推薦されるのは、そのうち形がよく残っている4世紀後半から5世紀後半の49基になります。ですから有名な大仙古墳はもちろんですが、一般の人では知らないような古墳も世界遺産になるということです。

 

ちなみに国内第2位の大きさの古墳はあまり知られていませんが、誉田御廟山古墳(こんだごびょうやまこふん・応神天皇陵)で古市古墳群のひとつです。

 

さらに国内第3位は履中天皇陵古墳(石津ヶ丘古墳)で百舌鳥古墳群のひとつです。

 

つまり、国内の大きさベスト3の古墳がすべて揃い踏みで、まさに古墳の3役揃い踏み・オールスターというような感じが「百舌鳥・古市古墳群」なのです。

 

そんな国内では紛れもなく貴重な古墳が集まる「百舌鳥・古市古墳群」ですが、世界遺産の登録の可能性はどうなのでしょうか?

 

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墓はたくさん世界遺産に登録されている

 

現在の世界遺産に登録されている遺産の中で、多くの王などの墓が世界遺産に登録をされています。それも世界的にとても有名なものがあるのも特徴です。

 

例えば「メンフィスとその墓地遺跡」。ちょっとイメージがわかないかもしれませんが、ようするにエジプトのギザのピラミッドに代表されるピラミッド地帯のことです。

 

 

文化的な価値は世界の誰もが認めるスーパー世界遺産で、1979年に登録をされています。1978年が世界遺産登録第1号ですが、それに次ぐ登録になります。

 

正直近年の世界遺産の中ではちょっと疑問に残るものもありますが、初期のものはその価値が誰が見ても文句のつけようがないものが多いです。

 

ちなみに日本の世界遺産が初めて登録をされたのは1993年。白神山地、姫路城、法隆寺地域の仏像建造物、屋久島が登録をされています。

 

姫路城は改修工事でリニューアルして大混雑 綺麗になった白鷺城は行列必至

 

法隆寺のすごさはココ! 拝観料は少し高いけどそれだけの価値はあります

 

もののけ姫のモデル屋久島は山だけでなく海もすごい

 

エジプトのピラミッド群以外というと、中国の秦の始皇帝陵が大仙古墳やクフ王のピラミッドとあわせて世界三大墳墓と呼ばれています。

 

秦の始皇帝陵は、「秦始皇帝陵及び兵馬俑坑」として1987年に世界遺産に登録をされています。

 

秦の始皇帝陵よりも兵馬俑坑の方が有名ではありますが、中国の数多くの世界遺産の中でも人気知名度ともにトップクラスの世界遺産になるでしょう。

 

 

数多くの埋葬された人形が、日本の古墳でも出土される埴輪とダブります。

 

インドのタージ・マハルなんかもインドを代表する世界遺産ですが、皇帝がその王妃のために立てたお墓になります。

 

「百舌鳥・古市古墳群」の世界遺産としての価値はある

 

「百舌鳥・古市古墳群」ですが、他国のお墓が多く世界遺産に登録されていることからもわかるように、世界遺産としての価値は十分にあるでしょう。

 

特に東アジアではたくさんの王墓などが世界遺産に登録をされていますから、それらとの比較からも十分登録をされる資格はあります。

 

日本の残る世界遺産候補としては、エース級ではないかと多くの人が思っているはずです。

 

登録に対する問題もある

 

「百舌鳥・古市古墳群」が世界遺産に登録される価値が十分あるとしても、すんなりと決定をされるわけではなそうです。

 

一番の問題は周辺の環境ではないでしょうか。

 

遺産としてよりも生活をすることを重視したため、古墳群の周りには高層マンションはたくさんありますし、中には派手な商業施設やラブホテルもあったりで、景観を台無しにしている場合があります。

 

また古墳群は宮内庁の管轄になるのですが、詳細な調査を認めないため各古墳に関して、まだ良くわかっていないものもたくさんあります。

 

この辺りはイコモスやユネスコがどう判断するかによりますが、まずは出来る限りの準備を行いイコモスの勧告が良い結果であることが大事です。

 

観光としての問題も

 

無事に世界遺産に登録をされたとしても、国や経済界が最も望むのが経済効果でしょう。

 

ただ、「百舌鳥・古市古墳群」の中でも最も人を集めることになると思わえる大仙古墳ですが、普通にそのまま見ると単なる森にしか見えず、上空からでないとあの鍵穴の形を見ることはできません。

 

堺市役所は高層建築物ですが、それでも期待通りの古墳の様子を見ることができません。

 

古墳内は立ち入り禁止になっていますので、世界遺産に登録をされたからといってもそれほど人を集客することがない可能性もあります。

 

古墳が良く見えるようにタワーを建設したり、気球などで空から見るアクティビティの計画もあるようですが、世界遺産に選べられるだけでも名誉ですよね。